ああ、あの本は警告だったんだ・・・・・・





本に書かれていた意味を理解してもしなくても、


歯車は軋み動き出す。





本を開いたときから動き出す『呪い』。





やはり世界は俺たちを・・・・・





俺を許さない。









+++++  禁  忌  +++++









カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・





ギー・・・・・・パタン。








・・・・・・ポタリ。








誰もいない静かな部屋で、一滴の涙が流れた。


そして箍が外れたのだろうか、次から次へと涙は頬を零れ落ちた。





「ごめッ・・・・・・ごめ・・ん・・・、瞳」





俺の想いに応えてくれた瞳だけは――――――どうか、





紅蓮は豪華な王族の自室に入ったと同時に

扉にもたれかかり頬を流れる涙をそのままに、力なく崩れ落ちた。








全ての罪を俺が被るから


全部、全部自分が悪いと知っているから


瞳だけは罪を許して


俺から瞳を奪わないで









『お願いです・・・・神様・・・・・』









紅蓮は願いを口にすることもなく強く、誰よりも深く祈り続けた。








あんなにも純粋だった気持ち。


あんなにもただ一人を想える、あたたかな想い。














どうして、お前なんだ・・・・・・・『瞳』














好きだ―――


ただ気持ちばかりがあふれる





愛してる―――


どうしようもない愛おしさが胸を埋め尽くす





世界で一番近くて最も遠い人


こんなに気持ちはあふれるほどに強いのに














ただ、世界がそれを許さなかった―――――














一番近くて一番遠い人


どんなに恋焦がれたとしても決して想いが通じることがない人だと疑わなかった。


どうして俺たちは姉弟なのだろうか・・・・


どうして俺たちは一番近しい存在なのだろうか・・・・・・








自分の心に気付かないまま俺は姉に恋をした。








けれど、この世界に来て

俺は無意識に最も望んでいた願いが叶ったことを知った。





この世界は俺がずっと望んでいた世界だった。





姉弟ではない俺と瞳。


決して叶わぬ恋ではなくなった。





この想いは捨てなくていい?


この恋は終わらせなくてもいいのか?





自分の気持ちを自覚し、それを知った瞬間。


心底、嬉しかったのを覚えている。









『 愛してる。瞳、お前がが俺の全てだ・・・・・・・ 』









その想いが俺の全てだった。









やがて、俺たちは結婚をした。


半ば俺が無理矢理頼んだ形になったが、それでも瞳は俺に応えてくれた。


それだけで、そのときは嬉しかった。








嬉しかったのに・・・・・・


時が経つにつれ、どんどん俺の中に欲が出てきた。








  もっと近づきたい。





  もっと触れたい。





  抱きしめたい。





  キスしたい。














  瞳の全てが・・・・欲しい。














なんと強欲なのだろう。


応えてくれたのに、瞳が傍にいてくれているのに


もっとを望んでしまう。


もっと、ずっと、近くに傍に瞳を感じたいと思っている。








「ごめん・・・・・愛して、ごめん・・・・瞳・・・・・・」








だからこれは、罰なのだ。


姉を愛した愚かな弟への・・・・・・・








紅蓮は部屋で一人


頬を流れる滴をとめることができなかった。





今は姉弟でもなければ血も繋がっていないのに、彼女は俺を弟としてしか見ない。


叶わないと知っていても、それでも望むことをやめられない自分がいる。


終わらさなければいけない想いだとしても、気持ちが割り切れない。














確実にどちらかが死ぬ呪い。


別れのときは刻一刻と近づいてゆく、


それでもこの想いは断ち切れず、ただ「愛している」と


頭の中ではなく心が叫んでいる。


ココロがずっと求めている。














ただ、どうしようもなく純粋な想いだけが行き場を失っていた。














――――――――― End














>>>>>あとがき
お久しぶりです。

もっそ捏造です。(=□=;)

本当は本の呪いのこと、紅蓮は気付かないんですよね。
でも、まぁ・・・・いっか。
な、感じで捏造しました。(笑
まぁ、とりあえず。書き逃げ!!ε=ε=ε=ε=(;゚Д゚)ノ

h19.11.29


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